メキシコ、自宅で20日間の引き籠り生活(コロナ自粛後編)
おさらい。
コロナCTR検査の結果は「陽性」
少なくとも23日間の自粛を余儀なくされる。
(前編は過去の記事を読んでね)
嗅覚と味覚がないこと以外、特に他に何の症状もない、ほぼ無症状感染者らしい。
無自覚の感染者はもちろん、メキシコでは有自覚者でも検査に行かないで日常生活を過ごしている層が大勢いるということが一番恐ろしい。
陽性結果が出たら仕事にいけなくなるか、クビになるのを
恐れてのことだろう。
ちなみにメキシコは2020年3月頃からコロナが流行り始めてから、4月、5月と感染者の数は日本と順位争いだったが、そこからほんの数ヶ月でメキシコシティを初め爆発的に感染者が急増した。
世界の中でも一気に15位以内に入るほど浮上し、
現段階では220万人を超えるほどまでになっている。
そもそもの一つの大きな理由として、典型的なメキシコ人気質の人からすると
コロナは気にしない とのこと。
実際に以前、スラム街で住んでた頃、その辺の道端で昼間から酒飲みながら
ヨレヨレのシャツを着た4、5人でゲラゲラ楽しそうに話してる所、一人の顔見知りに聞いてみた。
自分「おっちゃん、何でマスクせえへんの?」
おっちゃん A「はは、ええかわしらはな、なんぼ周りが世界がコロナで
騒いでようが実際に目の前で自分とこの犬が野垂れ死にする所見るまではそないなもん信じんし、気にせんがな!」(ビールがぶ飲み)
自分「犬が野垂れ死に?」
おっちゃん B 「ああ、要はわしらの身内の人間の誰かがコロナで死ぬところ目の当りにするまでは信じへんっちゅうこっちゃ。」(ビールがぶ飲み)
自分「. . . . . . . .。」
おっちゃん C 「わしなんか15年以上ごみと一緒に生活しとるけど、一回もウイルスにかかったことないで!」
自分「(たしかにコロナウイルスどころか、もはやおっちゃん自体がウイルスみたいなもんだ)」
おっちゃん D, E 「はっは! ビール最高!」
笑えてる内はまだ平和だ。それにしても信じないのは勝手だが無意識に他人に迷惑掛けるのは避けてほしい、と説得しても話の通じる相手じゃなさそうだったので
その場から立ち去った。
このパターンはかなり極端だと思う。
もちろんメキシコ人皆そうではないけど簡単に言えば、そういう今幸せならそれでよしなラテン気質は特に中高年層の男に多いように感じる。
若い人達は社会情勢に危機感を持っているように思う。
未だに外国人を受け入れたり等、国の規制自体も弱いけど、危険信号が赤色だろうが
気にせず旅行に出かけるほどのメキシコ人の気質がコロナ感染に拍車をかけた。
今は既にシニア優先でワクチン投与が始まっているメキシコ。
とにかく過去14間の感染源を頭の中でひたすら探ったところ年末に世話になった家族に誘われたパーティを思い出したが幸い感染者はいなかった、メトロの中や買い先で感染した可能性も十分あるが、結局どこからもらったのかははっきりしない。
自分でも頭の中では未だ半分信じていなかったが、結果が出た以上、家の人間に迷惑を掛けるわけにはいかないのでここは大人しく現実を受け入れるしかない。
別に診療所に行く必要もなく、ただ部屋で自粛と伝えられる。
ルーミーの母のロサからも念押しされ、二人で家に帰る。
その夜、息子のクリスが帰って来た。
昼頃ににお母さんから検査結果を聞いていたので、すでにそこには普段の大人しい
クリスの顔つきはなかった。
「君がコロナウイルスを持ってるのは今日100%判明した。もし僕がいない間に少しでも外に出たら母さんからすぐ知らせが来る。ルールをリスペクトしない場合は思い知ることになる」
真剣な顔で言う。
何せ親が60歳を過ぎてるもんで相当心配してるようだ。
外部の同居人がコロナをもらってきた上に親も住んでるとなれば心配するのはもちろんかなり迷惑な話でさすがに少し反省した。
ただルール通り過ごして無事に自粛期間が過ぎ去るのを待つしかない。
ちなみにクリスは過去に一度、自分が来る前にコロナに一度感染したらしい。
(実はその頃にロサも感染したっぽい)
というわけで20日間は必要最低限の私用以外の外出は禁止される。
基本的に自分の部屋に軟禁状態、もちろんトイレはOK。
料理はほとんどキッチンで自分で作ってたんで、特別に調理許可を得た。
食器は別々、使い終わったら触れた場所、通った場所すべてに除菌スプレーを吹きかける、必要なものは家の物に伝えて買い出しに行ってもらうなど徹底した。
その時からクリスとの関係もかなり気まずくなった。
ただかなり心配性な面で仕事でクリスが家にいない間しょっちゅうロサに感染しないように部屋から出るなと電話で伝えるばかり、部屋に籠ったロサが半分ノイローゼ状態になったのはかわいそうだったが複雑な気分になった。
一日のルーティンは大体決まっていた。
自粛といえど早起きは徹底した。
その後朝一ストレッチ、瞑想、メール返信、SNSストーリー更新、副業、筋トレ(感染中はおススメしない)、読書、など自分なりに自粛時間は活用した。
体調が悪くなかったのはほんまに不幸中の幸いだった。
そんな生活の中でも辛かったのは、部屋に窓がなく扉を閉めれば、そこは時間の経過が精神と時の部屋かというぐらい時間の流れがわからない。(時計は見れる。)
中でも時間かけて作った飯でも匂いどころか無味なのが悲しすぎた。
どんなに自分好みの味付けしても味がしないのは文字通り味気がない、虚しい食生活だったが食べれることに感謝しながら過ごした。
メキシコの太陽の日を浴びれないのも辛かった。
そんな生活にも慣れた2週間ちょっとしてからあることにふと気がついた,
飯の味がする!
100%味覚が戻ったわけじゃないけど、、うまい。。
うますぎる。
2週間無味無臭で過ごしてきた後の自分の作った飯を味わう姿を想像してほしい。
あまりの感動であたいの目から涙がちょちょ切れた。
ちなみにその日作ったのはたしかネギと大豆ミートのサボテン丼。
しつこく言うが泣くほどうまかった。
他の感染者によれば味覚と嗅覚が戻るまで大体数か月ほど掛かるらしい。
自分の場合はその時点で60%は戻っていたので回復は早かったと思う。
匂いもかすかに戻っていた。
周りも一緒に喜んでくれていた。
一気に気分も明るくなった上に自分の中ではもはやコロナにかかっているということも吹き飛んだ。
「3日後に再検診に行ってくればいいよ」とクリスが言う。
あんたは医者か?とも思ったがそれはともかく 3日後、再検診に行ってきた。
結果:陰性
すでに確信していた。
その日は見える世界すべて明るく見えた。
心は飛び跳ねた。外の空気も最高にうまく感じた。
すぐに家に帰って家族に報告した、みんな大喜びでハグで迎えてくれたのを覚えている。
これでもう皆家の中でマスクをしなくて済むのと気兼ねなく家の中を自由に移動できるのは嬉しかった。
ただ抗体はできたとしても新種のウイルスにかかる可能性もあるんで、十分引き続き
気を付けてとのこと。
自分も自粛生活にはせいせいしたし、これ以上ルーミーを不安にさせたくもなかったのでこれまで以上に気を付けることにした。
回復するのを応援してくれた周りの仲間にも感謝。
メキシコでも毎日コロナで死んでいく人も多い。(実際のところ原因は不明)
今でも多くのメキシコ人にとっても不安は大きくなっていてギスギスした空気は少しあるがその反面コロナに呆れて普通の生活してる人の方が多い。
正直、コロナが広まった頃は自分がアジア系であることによって白い目で見られることもあったけど、今はその時期は乗り越えて、健全に楽しく日々を過ごせている。
メキシコは人も温かくて地形や歴史的にも魅力的な国なので早くコロナがもっと落ち着いてメキシコの色んな所に旅に出かけたいと思う。
読者の方々にも気持ち込めてメキシコの魅力や情報を伝えていこうと思ってるんでこれからもよろしゅうに。(萬田風)